こんにちは、アラかん亭です。
皆さんは宅建士(宅地建物取引士)という資格をご存知でしょうか?
宅建士はアパートを借りたり、土地や家を買ったりするなど不動産取引きをする際、物件の説明や契約書へ責任の署名と押印をしてくれる不動産屋さんの従業員です。
でも、この宅建士は不動産屋さんの従業員でありながら、お客さんの味方をするように法律(宅地建物取引業法)で決められています。
宅建士は土地や建物を買うお客さんの味方ですね。
でも、お客さんが自分たちのために宅建士雇い、費用を払うのならば分かります。
しかし、彼らに費用(給料)を払っているのは不動産を売ろうとする不動産屋さんなのです。
これってものすごく不思議ではありませんか?
今回はこの宅建士について私なりの謎解きをします。
宅建士とは
アパートを借りるときや、家や土地を買うときは必ず宅建士のお世話になります。
不動産屋さんの中の人なので、どの人が宅建士なのか気づかれない方もいるかと思います。しかし、宅建士は試験に合格して、特別に資格を与えられた不動産屋さんのエース的人材なのです。
法律で、不動産の取引の際、物件の説明や契約書への記名押印が宅建士に義務付けられ、宅建士が関わらないと不動産取引をしてはいけないことになっています。
責任を持ってその説明をするのが宅建士です。
詐欺や嘘、そして勘違いなども許されません。
ですから、宅建士のおかげでお客さんは安心して土地や建物を購入できるという構図になっています。
不動産屋さんが雇う宅建士の人数もお店の規模により何人以上ときちんと決められています。
現在、全国で資格保有者は101万人、免許証を交付申請した人は51万人とのことです。
資格所持者の人数が多いのは宅建士試験に合格すると死ぬまで資格保持者になるためです。
様々な規制を受ける不動産屋さん
不動産屋さんは宅建業法で、様々な規制を受けています。
不動産取引きは本来誰でも自由にやって良いものなですが、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律により「不特定多数の人に、反復継続して」で不動産取引をする場合、不動産屋さんの免許(宅建業者免許)が必要になっています。
不動産屋さんの免許は厳しい基準が設けられており、申請すれば誰でも免許をもらえるわけではありません。
そしてさらに不動産屋さんはお客さんと契約をとりかわすお店には必ず宅建士を雇わなくてはいけません。(規模により人数も規定されています)
宅建士の不思議な立ち位置
不動産屋さんに雇われた宅建士は不思議な役目を負わされています。
宅建士は不動産会社に所属しながら、先にも書きましたが、顧客の利益保護のために働かなくてはいけません。
お客さんの味方なのです。
不動産会社から見れば、せっかく給料を払っているのに、彼らは自分たち会社のために働かず、お客さんのために働くのです。
法律の条文も見てみましょう。
第十五条 宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。
宅建士は「不動産業者(宅地建物取引業者)に勤めながら、土地や建物を購入する人の利益を守らなくてはいけない。」ということです。
宅建士の本当の仕事
この矛盾に対して、私なりの回答です。
それは宅建士は不動産業界保全のため、悪徳不動産業者、つまり悪い業者がお客さんを騙して莫大な利益をむさぼることを抑えるためです。
業界の見張り役です。
不動産業は悪く言えば他人の資産(土地や家)を右から左へ流すだけでお金が儲かる仕事です。できれば、業界関係者全員で、細く長く儲ける(みんなで長い期間甘い汁を吸う)ことをしたいのです。
しかし、中には目先のお金に目がくらみ、業界関係者の迷惑を顧みず、お客さんを騙して大儲けする不埒な悪徳業者が出てきます。
このような業者がたくさん出てくると、不動産業界の大問題です。この事態は是非とも避けなければいけません。
このような抜け駆け業者を出ないようにする仕掛けが宅建士なのです。
つまり、業界全体の利益保護のため働くのが宅建士なのです。これならば、不動産業者がお金を出して宅建士を雇う理由がわかります。
決して、お客さんのためではありません。
まとめ
私は、世の中の仕組みは全て複雑であり、表面上のことだけで説明がつくことはむしろ少ないと思っています。
不動産業界にしても、自ら規制を作り、自分たちの首を絞めるようなことはないはずです。
規制を作ったなら必ずそれ以上の見返りはあるはずです。
宅建士制度の見返りは、悪徳不動産会社を抑制するためです。抜け駆けを許さず、緩く長く不動産業界を維持することです。
これが真の狙いではないでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとございました。